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〈ものがたりの中の女性たち 6〉指に落ちた一滴の墨から恋が始まる/雲英

あらすじ

柳泳(リュヨン)という貧しい儒生が、世宗王の三男・安平大君の廃墟になった宮殿跡「壽聖宮」で、ひとり哀愁に浸り酒を呑み眠りこけていた。目を覚ますとすでに日は暮れ、妖しい気が辺りを覆う中、どこからともなく声がする。

声の主は、美しい少年儒生・金進士と絶世の美女・雲英。彼女は安平大君の宮女、金進士は安平大君のお気に入りの門人だという。悲しげな2人はもはやこの世の人ではなく、そのいきさつを柳泳に語って聞かせる。

安平大君は風流を愛し、才能ある者たちを壽聖宮に集めて詩会を開く一方、雲英ら10人の美しく聡明な宮女たちを別宮に住まわせ歌舞や書を教えている。

詩会に招かれた金進士は、大君の命で硯を捧げ持った雲英とたちまち恋に落ちる。雲英は、再び大君の招きでやって来た進士に戸の隙間から恋心を綴った詩をこっそり手渡す。進士も壽聖宮に出入りする巫女に託し雲英への恋文を送る。

ところがある日、お題に沿って雲英が書いた詩を読んだ大君は、彼女が誰かに恋をしているのではないかと疑念を抱く。詰問する大君に雲英は命がけで否定する。

しばらくして2人の関係に気づいた大君は、10人の宮女を南宮と西宮に分けて住まわせ、雲英を監視する。西宮の宮女たちは身を挺して2人の恋を守ろうと献身的だ。

その後、秋の宮中行事で川へ洗濯に出かける機会を得た雲英は、宮女たちの助けもあって巫女を訪ね進士と連絡を取り合う。その夜、金進士は宮殿の高い壁を越え雲英と愛を確かめ合う。彼は毎晩のように壁を越え雲英と逢瀬を重ねるが、雪に残った壁へと続く足跡が宮中の噂になり、大君に気づかれてしまう。

疑念をはぐらかすことができなくなった雲英は、宮中から脱出を計画、金進士の使用人特(トゥック)を通して彼女の宝飾品などの財産を宮殿の外に運び出し金に換え金進士との新しい生活の元手にしようとするが、特の裏切りによりすべて奪われてしまう。

特が流した噂により、自分が贈った宝飾品が無くなっていることに気がついた大君は雲英の計画を知る。激怒した大君は10人の宮女たちを集め厳しく取り調べる。投獄された雲英は、進士と同僚の宮女たちに累が及ぶことを恐れ絹の帯で首を括り自決してしまう。

ここまでは雲英が語り、記録することに専念していた金進士が続けて語り始める。

雲英が自決すると、進士は特から財産を取り戻し、それを寺に寄進、彼女の冥福を祈祷すると飲食を絶った後、涙で歳月を送った末に雲英の後を追い、自殺してしまう。

ここまで話すと、雲英と金進士の幽霊は悲しみのあまり二の句が継げない。柳泳が生まれ変わりたいのかと聞くと、この辛い現世よりあの世のほうが幸せだと、永遠に変わらないこの愛を後世に伝えてほしいと答える。

話し終えた後、3人は悲しみに沈み静かに酒を酌み交わす。酔った柳泳が山鳥のさえずりに目を覚ますとすでに夜明け、雲英と金進士の姿はなく2人の悲しい恋の顛末の記録だけが残されている。柳泳はそれを持ち帰り隠し持っていたが、寂寥感を拭えず飲食を絶ち放浪の旅に出る。その後の行方は杳として知れない。


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