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不交付の理由

2017年04月29日 08:52 コラム 春・夏・秋・冬

春の日にも行こう、冬にも行こう/白頭山、白頭山、私の心のふるさとへ/われらを呼ぶ白頭山へ行こう-朝鮮の流行歌、「白頭山へ行こう」の一節。明るく軽快なメロディー、シンプルな歌詞で、近年、人々の間で広く親しまれている春夏秋冬

▼なんとこれが不交付の理由だという。朝鮮学校に対する千葉市の補助金不交付決定(427日)である。市は、千葉初中の芸術発表会で上記の歌が披露されたことを挙げ、「地域住民との交流に資するものということは極めて困難」だと説明した。朝鮮の子が朝鮮の歌をうたう。そんな当然のことすら問題視する居丈高な姿勢は、かつて民族の言語・文化の抹殺を図った植民者の愚行をも彷彿させる

▼もう一つの理由として市は、同校が地域交流の一環として開いた美術展に日本軍性奴隷問題をテーマにした絵画と、南日「合意」への反対を示す解説文が掲示されたことを挙げた。「われわれの思いを踏みにじられた」と市長はいう。性奴隷被害者に寄り添い、問題解決を願うことが、一体誰の何を踏みにじるというのか。市の決定はつまり、「政府の政策、意向に反する教育は認められないから金は出さない」と、自治体の首長が中央政府への隷属を表明したようなものだ

▼時の政権の歴史認識を強要し、祖国との断絶を迫ることが地域交流に資するのか。否、人間の尊厳と人権を尊重し、違いを認め合うことから交流は始まる。千葉市の決定に断固抗議し、撤回を求める。(覚)

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