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〝「多文化共生社会」実現に逆行〟/神奈川朝鮮学園が談話発表

2017年02月13日 17:00 主要ニュース

神奈川朝鮮学園は10日、県の補助金支給見送りを受けて開いた記者会見で談話を発表した。内容は次のとおり。

黒岩祐治神奈川県知事は、昨年11月に「神奈川朝鮮学園の保護者に対する平成28年度の補助金支給を留保する」との発表に続き、一昨日2月8日の定例記者会見では「平成29年度当初予算案への計上を見送る」と発表しました。

教科書の改訂を「前提」として、朝鮮学校の保護者に対してのみ学費補助金を「留保・停止」するとした黒岩知事の発表は、県の学費補助制度の趣旨や日本国憲法、私学教育法、子どもの権利条約、人種差別撤廃条約に著しく反するものであり、何の罪もない朝鮮学校の児童・生徒の学ぶ権利を踏みにじる民族差別そのものであります。

そもそも補助金は「保護者に対するもの」であり、結果的に「留保・停止」の影響は園児・児童・生徒と保護者が受けることになり、このことは神奈川県の保護者補助金制度の趣旨に明らかに反するものであります。

また県がたびたび言及しているように、私学教育法によれば県は私学の教育内容について介入することはできず、「教科書改訂」を補助金支給の「前提」とすることは明確な教育内容への介入と言えます。

朝鮮学校に通う児童・生徒だけが、他の学校に通う児童・生徒と異なる不利益な取り扱いを受けることは、初・中・高等教育や民族教育を受ける権利にかかわる法の下の平等に反し、児童・生徒の学習権を侵害する結果となります。

2014年、人種差別撤廃委員会は日本政府に対し、「朝鮮学校へ支給される地方自治体による補助金の凍結もしくは継続的な縮減」について懸念を表明し、「朝鮮学校への補助金支給を再開するか、もしくは維持するよう、締約国が地方自治体に勧めること」を勧告しています。

朝鮮学園に通う児童・生徒たちは、日本による過去の植民地支配によって、日本に住むことを余儀なくされた朝鮮同胞の子孫であり、日本に永住し、日本の子供たちと手を携えて、朝日友好親善の懸け橋となりうる貴重な存在です。

本学園は、これまで民族教育の理念を守りつつ、長洲元県知事以来の「多文化共生社会」実現に向けて「あーすフェスタかながわ」「外国籍県民かながわ会議」などにおいて、県政の施策の実現に向けて可能な限り協力を行ってきました。しかしながら今回の「補助金留保・停止」は、「多文化共生社会」の実現に逆行するもので、これまでの協力関係を無にするものと言わざるを得ません。

朝鮮学園の保護者たちが、神奈川県民として納税義務を果たしていることは周知の事実です。教育内容を理由に、朝鮮学園に通う児童・生徒だけが補助を受けられないことは、県の財政を司る知事の判断として、到底受け入れ難いことです。

朝鮮学園の保護者と生徒に対する露骨な差別と排除は、将来に洗い流すことのできない心の傷を残し、怒りと悲しみを植え付けるだけであります。

私たちは知事に対して、今回の「留保・停止」決定を即時撤回し、引き続き補助金を支給することを強く求めます。

(朝鮮新報)

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