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〈それぞれの四季〉ハンメのことば/李イスル

2016年09月02日 09:14 コラム

2年前の夏にハンメが亡くなった。93歳と高齢ではあったものの、直前まで元気に過ごしていたし、あり得ないことだが、ハンメがいつか死んでしまうなんて考えてもみなかったので、涙が出るより先に驚いてしまった。

毎年夏になると勤めている事務所でスイカをお裾分けしていただくのだが、生前ハンメはスイカが好きで、亡くなる何週間か前、そのスイカをハンメのところに持って行こうか迷ってやめてしまった。小さなことだけれど、それがずっと心にひっかかっている。

70歳の年の差を越えて、ハンメとは家族の中で一番うまがあった。大ゲンカしたこともあるし、恋愛に超消極的な私に助言してくれたこともあった。ハンメのことばにはいつもハンメの哲学が詰まっていて大好きだった。亡くなる4日前、最後に会ったときには「女は仕事もして家のこともして大変だよ。でもやらないと」と言われた。たぶん、私がチェサの準備をしないアボジとトンセンに不満を持っているという話をオモニとしたのだろうが、いずれにせよ最後まで的を得たことを言ってくれたものだ、と思う。

この2年間ハンメのことを思い出さない日はなかったけれど、やはり命日が近づくといつもより感傷的になってしまう。天国や来世があるのか私には分からないが、叶うならまたハンメと会って色んな話がしたい。

(神奈川県在住、法律事務所事務員)

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