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〈それぞれの四季〉名に込めた思い/李イスル

2016年07月23日 10:18 コラム

春といえば入学式の季節だ。チェッカバン(ランドセル)をしょいオモニの手にひかれ入学式にむかう途中、雨で少し散ってしまった桜の下で写真を撮ったことをおぼろげながら覚えている。

親は得てして(ことに入学式のように特別な日には)子どものベストショットを撮りたがるものだが、オモニが二度三度撮り直しをするのに、やれやれ、と思いながら付き合っていたような気がする。

思えば、初中高の入学式は全て雨上がりか豪雨だった。私が生まれた春の日も雨上がりの天気だったそうで、オモニは「イスル」という名にまつわる天気なのが嬉しかったそうだ(昔盗み読みした育児日記にそう書いてあった)。こうして思い返すと、私の人生の始まりの日はいつも雨降りだったようだ。

少し話が変わるが、2年前に亡くなったウェハンメ(外祖母)の名前に「春」の字が入っていて、いつか子どもを授かれたらこの字をつけたいと思っていた。

しかし、私の尊敬する恩師たちのうち「春」の字のつく人が多く、名前負けしてはかわいそうなので、もう一方の字をつけるべきかと考え直しているところだ。

ハンメの名をついだ我が子と手をつないでウリハッキョの入学式に向かう日が、いつか私にも訪れるだろうか。そんな日には私も、子どもの気持ちはおかまいなしで何度もシャッターをきってしまいそうな気がする。

(神奈川県在住、法律事務所事務員)

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