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〈それぞれの四季〉「トンポチャンスマダン(同胞・長寿・場)」/任孝心

2016年04月29日 10:21 コラム

ここ数年、高齢化が進む中、周りを見渡せばデイサービスや老人ホームなど高齢者向けの事業団体や施設が目立つ。私が働いている支部では毎日、健康維持や認知症予防のために介護予防活動の一環として市の協力の下、街角デイハウスを運営している。その名も「トンポチャンスマダン」。

99年に開設され、今日まで引き継がれたその歴史は濃くて深い。高齢同胞が長生きできる場として設けたこの施設も自分たちの提案からできたもの。利用者は70~90代の在日同胞ハラボジ、ハルモニたち。毎日、主に会話や食事、体操を含めた健康管理など多様な介護活動を行っている。互いに知り合いともあって、昔話に花が咲く。サトゥリ(方言)を使うと、私にはまったく聞き取れないが、いつも賑わっている。中でも、デイハウスとっておきのシンモ(食母)が作るごはんは絶品でおいしい。シンモは私に「なんでも情、誠意やで」と言う。わがハルモニたちのために一生懸命なのだ。

だが、最近体調を崩す人も少なくない。老いるとはこういう事かと身にしみて感じながらも、それでもハルモニたちはいつも家族のような、仲間のようなハルモニたちに会いに支部に来る。

ただ楽しんでいるように見えるハルモニたちの笑顔の裏には、自分たちの支部を守らんとする強い気持ちが隠されているのだと私は感じる。

(大阪府在住、支部活動家)

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