南朝鮮で最近、「歴史教科書の国定化問題」が、世論を大きく分ける社会的なイシューとなっている。朴槿恵政権は去る10月、中学・高校用の歴史教科書を、現行の検定制から、国が作る単一の教科書に限定する国定制にすることを発表したが、市民や有識者たちによる強い反発運動が広がっている。
南朝鮮政府が歴史教科書の国定化方針を発表したのは10月12日。2017年度から、新しい単一の教科書を使用する計画だ。
11月3日には、歴史教科書の国定化が告示された。野党や教職員団体が反発する中、「国民談話」を発表した黄教安首相は、「高校の99.9%が偏向が指摘される教科書を採択している」と述べ、歴史教科書国定化の必要性について強調した。

ソウルでは高校生たちも歴史教科書国定化反対のデモを行っている(連合ニュース)
国定化は朴槿恵大統領の強い意向によって強行された。検定制の下での歴史教科書が自虐史観に基づいており、南朝鮮の歴史を恥ずべき歴史として教え、親北的な内容が含まれている、というのが国定化の「理由」であるとしている。
朴大統領はこれまで、民間出版社が発行する現行の検定教科書について、「左派の主張に偏向している」などと難くせをつけてきたが、学界や教育界などから国定化反対の声が高まり続ける状況を受け、自らが表に立って直接的な世論戦を展開した。
朴大統領は11月10日に青瓦台(大統領府)で開かれた閣議で、現行の歴史教科書について「わが国の現代史を正義に反する歴史として否定的に描写している」「韓国は『政府の樹立』として、北朝鮮は『国家の樹立』と記述されており、韓国に分断の責任があるかのようになっている」「朝鮮戦争の責任も南北双方にあるかのように記述されており、戦後の北朝鮮による各種の挑発は矮小化されている」「世界がうらやむ韓国の経済発展は反労働者的に描写して、企業の負の面だけを強調している」などと発言。そのうえで、「誤った歴史教科書で学んだ学生は、韓国を生まれてはならない恥ずべき国として認識するようになり、国に対する誇りを失わざるを得ない。自国の歴史を知らなければ、魂のない人間になり、正しい歴史を学ぶことができなければ、魂に異常をきたしかねない」と述べた。
この発言には新政治民主連合をはじめとする野党が猛反発した。

現行教科書が「左に偏向している」とする政府側の主張に異議を唱える女子高生(連合ニュース)
南朝鮮の歴史教科書は、朴正熙・軍事独裁政権であった1974年に国定教科書に一本化されたが、金大中政権の02年に検・認定制度が一部導入されたことを受けて複数の出版社が教科書を作成するようになった。11年には完全に検定制に移行している。
朴大統領は就任当初から「正しい歴史観」「バランスの取れた歴史教育」を強調し、歴史教科書の国定化に意欲を見せてきた。昨年には保守派の学者らが編集した「教学社」の歴史教科書が初めて検定に合格。しかし教師らが「日本の植民地支配や軍事独裁を美化している」と激しく抵抗したことから、採択した学校は1校にとどまった。これにしびれを切らした朴政権が今回、国定化に踏み切ったという見方も指摘されている。
この問題をめぐって、ハンギョレ新聞などの南朝鮮メディアは、朴大統領が父親である朴正熙の「名誉回復」に執念を燃やしていると指摘している。
朴大統領はセヌリ党の大統領候補であった12年、朴正熙が起こした5.16軍事クーデターについて、「不可避の最善の選択」「(韓国の)礎を築いた」(7月16日)などと発言したほか、維新体制下で起こった人革党事件に対する再審判決について「最高裁の判決は二通り出ている」(9月10日)と述べるなど、歪んだ歴史観を露わにしたことがあった。当時、世論の厳しい反発を受けた朴大統領は緊急記者会見を開き(9月24日)、5.16クーデターと人革党事件等の不法性を認め、被害者たちに「謝罪」した。しかし、大統領就任後の歴史認識に関する数々の発言を見れば、それはあくまで政治的困難を乗り切るための詭弁にすぎなかったということは一目瞭然だ。
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