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国情院、またも波紋/スパイ容疑事件の資料偽造

検察が強制捜査実施

南朝鮮の情報機関である国家情報院(国情院)がスパイ容疑事件の裁判に偽造文書を証拠提出していたことが明らかとなり、政界を巻き込んだ大騒ぎとなっている。南朝鮮の検察当局は10日、国情院に対する強制捜査に乗り出した。国情院をめぐっては、一昨年の大統領選に介入した疑惑もいまだ決着していないことから、各界からは南在俊国情院長の解任と真相究明のための特別検事(特検)制度の実施を求める声があがっている。

「協力者」が自殺未遂

スパイ容疑事件は、脱北者でソウル市の契約職員になった男性被告(34)が、南朝鮮在住の脱北者約200人の情報を北側に流したとして、国家保安法違反罪に問われた。国情院は昨年1月、ソウル市役所で脱北者の支援業務を担当していた被告をスパイ容疑で逮捕したが、同年8月の1審判決は、被告の妹が「兄はスパイ」と語ったとされる自白の信ぴょう性が薄いなどとして無罪を言い渡した。

控訴した検察は、被告が2006年5月に中国から朝鮮へ出国し、翌6月に中国へ戻ったことを示す証拠として、中国当局が出入国記録を調べたとする書類3点を高裁に提出した。被告が北側の指令を受けに訪朝したことを示すためだ。

しかし、裁判所がソウルの中国大使館に照会したところ、先月、書類は3件とも偽造だったことが判明、中国政府がソウル高裁に通告した。中国側は、「(偽造は)犯罪である。中国が捜査する」と表明し、記録の出所の提出を高裁に求めた。

中国当局の書類3件は、在瀋陽総領事館に勤務する国情院職員が「朝鮮族の協力者」から入手したとされる。ところが、協力者という男性(60代)が今月5日、偽造書類だということを国情院も了解済みだったととれる内容の遺書を書いて自殺を図ったことから、疑惑はさらに表面化した。

地元報道によると、男性は自殺未遂をする前、検察の聴取に対し、「中国で第三者と一緒に書類を作り、国情院に渡した。国情院も偽造を知っていた」との趣旨の陳述を行ったという。一方、自殺未遂の現場となったソウル市内のホテルにあった息子あての遺書には、国情院からの報酬として「2カ月の報酬金600万ウォン(約57万円)、偽の書類制作費1000万ウォン(約96万円)」などと書かれていた。

野党・民主党は今回の証拠偽造事件を受け、真相究明のための特検の実施と、南在俊国情院長の解任をはじめとする措置をとることを求めた。

民主党の金ハンギル代表は10日、国会での最高委員会議で「大統領選介入事件の主役である国情院が、証拠偽造事件で司法システムの根幹を揺るがしている」と非難し、「朴槿恵大統領が一部始終について説明し、真相究明と責任者の処罰、再発防止のための改革法案を出さなければならない」と指摘した。

一方、朴槿恵大統領は同日、事件について遺憾を表明したが、各界からの反発を招いた。南朝鮮のインターネット新聞「民衆の声」によると、200余の市民社会団体からなる「国情院政治工作と大統領選を糾弾する非常時局会議」は11日、ソウルでキャンドルデモを行い、朴大統領に対し「遺憾を表明するだけでなく、国民に向けて謝罪し国情院長を解任すべきだ」と訴えた。

(朝鮮新報)