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「国民主権原理破壊、稀代の悪法」/特定秘密保護法案に各界から批判

2013年12月03日 11:21 主要ニュース

特定秘密保護法案に対して、各界から批判の声が上がっている。

法曹界では、日本弁護士連合会、自由法曹団なの法律家団体が法案に反対する声明を発表。140人以上の憲法学者・メディア法学者、120人以上の刑事法学者らもそれぞれ連名で反対声明を発表した。

マスコミからは、日本新聞協会、日本新聞労働組合連合、新聞労連、民法労連、日本ジャーナリスト会議、日本ペンクラブ、「ジャーナリスト有志の会」、日本外国特派員協会、日本出版者協議会、日本雑誌協会、日本書籍出版協会などが法案に反対する声明や意見書を発表した。

その他、福島県議会、アムネスティ・インターナショナル日本、歴史学研究会、仏教、キリスト教の複数の団体、全国保険医団体連合会、市民団体やNGOなどが法案に反対している。

日本弁護士連合会は、11月15日に発表した会長声明で、国家安全保障分野において立法を行う者に対して、国家安全保障への脅威から人々を保護するための合理的な措置を講じることと、政府の情報への市民によるアクセス権の保障を両立するために、実務的ガイドラインとして作成された「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」(ツワネ原則)に言及。法案の問題点を指摘し、「法案を一旦白紙に戻し、現存する国家公務員法や自衛隊法などの中に含まれる秘密保全法制も含めて、秘密保全法制の在り方を根本的に見直すべきだ」と訴えた。

自由法曹団は11月27日、「国家安全保障会議設置法」(日本版NSC設置法)の成立に抗議し、「特定秘密保護法」の廃案を求める声明を発表。「安倍政権は、積極的平和主義を標榜することに加え、中国の軍事力が急速に増強していることなどを挙げ、憲法解釈の変更によって米国との集団的自衛権の行使に踏み切ろうとしている。日本版NSC設置法及び特定秘密保護法案はそのための環境整備にほかならない」とし、「安倍政権の対中強硬姿勢は、北東アジアにおける軍事的緊張をいたずらに高めるものであり、国際紛争の平和的解決の流れに逆行する」と指摘した。

また、両法律は、「一部の官僚と閣僚が安全保障に関する情報(秘密)を独占し、主権者である国民はもちろん、国民から国政を付託された国会議員さえも、情報の共有から完全に排除し、この国と国民の運命を左右しかねない政策決定の過程から、国民を排除するものであり、日本国憲法の根本原理である国民主権原理を根底から破壊する稀代の悪法である」と強く批判した。

日本ジャーナリスト会議は11月29日、「特定秘密保護法案採決に強く抗議し、安倍内閣の退陣を要求する」緊急声明を発表。「福島の公聴会で出た反対・慎重論に一切、耳を貸さず、各種世論調査で反対が多数なのにもかかわらず、市民の声を黙殺し、衆議院本会議で強行採決した暴挙に断固として抗議する」とした。

また、「この法案は膨大な量の秘密をつくり上げ、国民の『知る権利』を侵す悪法である。『言論の自由』『学問の自由』『取材・報道の自由』を危うくする」と指摘。「安倍政権が参議院でも同法案の採決を強行しようとしている背景には、対米従属の政治姿勢をベースにした安倍政権の集団的自衛権行使容認と憲法九条改悪の意図がある。これは憲法が定める基本的人権と平和主義、国民主権の原則を根底から覆すものであり、断じて容認できない」とし、法案の廃案と安倍政権の退陣を求めた。

「特定秘密保護法案に反対する学者の会」は11月28日、法案の衆議院強行採決に抗議し、ただちに廃案にすることを求めた。同会は、「この法律が成立すれば、市民の知る権利は大幅に制限され、国会の国政調査権が制約され、取材・報道の自由、表現・出版の自由、学問の自由など、基本的人権が著しく侵害される危険がある。さらに秘密情報を取り扱う者に対する適性評価制度の導入は、プライバシーの侵害をひきおこしかねない」と指摘した。

また、「民主政治は市民の厳粛な信託によるものであり、情報の開示は、民主的な意思決定の前提だ。法案は、この民主主義原則に反するものであり、市民の目と耳をふさぎ秘密に覆われた国、『秘密国家』への道を開くものと言わざるをえない。何が何でも特定秘密保護法を成立させようとする与党の政治姿勢は、思想の自由と報道の自由を奪って戦争へと突き進んだ戦前の政府をほうふつとさせる」と指摘した。

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