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総聯広島・西支部・福島分会/同胞つなぐ糸切らせないために

2013年09月03日 15:05 主要ニュース

総聯広島・西支部福島分会は、同胞の多く住む西区の中心部を管轄している。古くから様々な活動を展開してきた伝統ある分会だ。近年、その活動はさらに多様化している。

同胞集める多様な活動

老若男女100人が参加した焼肉交流会(昨年7月、写真提供=広島市西分局)

老若男女100人が参加した焼肉交流会(昨年7月、写真提供=広島市西分局)

広島県西区福島町にある小料理屋「どんぐりの家」。地域同胞の営むこの店は、福島分会会員たちの行きつけの一つだ。おいしい家庭料理と共に飲んでもみな徒歩で帰れるという好立地が魅力だという。取材した日も、メンバーたち10人ほどが集い夜遅くまで和気あいあいとして、酒を酌み交わしていた。

全員が集ったところで、曺善煥副分会長がおもむろにゴマの葉を取り出した。作業着に褐色の肌が印象的な曺副分会長は、昨年から家庭菜園でゴマの葉を作っているという。「たくさんできたから、分会メンバーたちに配ってあげようと思って」と顔をしわくちゃにして笑う。

県内でも相対的に同胞の多く住む福島地域は、古くから同胞同士のつながりが密で分会活動の伝統も古い。一時は活動が低迷した時期もあったというが、近年では年間を通じた大小の同胞行事はもちろん独自の多様な活動を行っている。

今年2月からは福島分会の情報誌「ケンガリ」が発刊されている。プンムルノリで全体の音頭をとる楽器ケンガリのように、分会が主体となって地域同胞社会を盛り上げていこうという思いが込められた。「ケンガリ」には分会委員、地域同胞イベント、同胞企業の紹介など様々な情報がたくさん掲載されている。また「どんぐりの家」をはじめ、近隣の同胞飲食店で使える割引券なども添えられている。

パソコンを駆使して編集した曺副分会長は、この日「ケンガリ」を嬉しそうに見つめながら「昔と比べて今は理由がないと同胞宅に行きにくい時代。これを持って同胞宅をもっと訪ねたい」と話していた。季節に一度発刊される予定の「ケンガリ」。創刊号は対象となる同胞宅100軒に配布したという。

一方、昨年7月には分会主催の同胞焼肉交流会を企画し、地域の老若男女100余人を集めた。さらに今月は、広島県庄原市高野町にある高暮ダムを訪問する予定だという。

ここでは日本の植民地支配下で強制連行され、ダム建設のために過酷な労働を強いられて亡くなった同胞犠牲者を悼み、毎年日本市民たちが追悼会を営んできた。今年は福島分会が広島朝鮮歌舞団を招くなどしながら、犠牲者を共に弔うという。

本音で語り合う場

分会メンバーはみな共に腹を割って話しあう仲だという(写真提供=広島市西分局)

分会メンバーはみな共に腹を割って話しあう仲だという(写真提供=広島市西分局)

福島分会メンバーの特徴を聞くと、みな「良くも悪くも個性的な人が多い」と口を揃えた。

個性派のひとりとして紹介されたのが、分会委員の金洋二さんだ。副分会長いわく「洋二の趣味は人間観察。飲み会での発言もちゃんと覚えてるから怖くて仕方ない」と冗談めかして話すが、「だからこそ、発想もユニーク。面白い活動も生まれている」という。

福島分会では金さん発起の下、昨年初旬から女性同盟分会メンバーの誕生日に合わせ自宅を訪問して日頃の感謝の気持ちを込めた花を贈っている。それまで関係の希薄だった女性同盟分会とつながりを持つきっかけになっているという。

一方で、意外にも分会に参加したのは数年前からという金さん。「子どもの頃、熱心に分会長として活動するアボジの姿を見てきた。それに実兄も同じように頑張っていた」と話す。

分会活動は兄が亡くなったことをきっかけに参加するようになったという。「同じ頃、すでに活動していた同級生の後押しも受けた。(分会活動に)参加するといった3日後には、なぜか分会委員になっていて、有無をいわさずという感じもあったけどと」と笑う。

今では分会活動を動かす中心メンバーのひとりとなった金さん。「それまでは関係が近すぎて悪いところも見えてしまった分、同胞社会も学校も遠ざけて生活していた。けれど久しぶりにこうして同胞のつながりの輪に触れると新たに見えてくる景色がある。(同胞社会は)やっぱり居心地がいい。分会は特に関係が深すぎると思うこともるけど、互いに遠慮しすぎたり隠す部分がない分、本心で楽しいと思える場だ」と語る。

隣で話を聞いていた曺副分会長も金さんの発言に深くうなづいた。「分会は同胞同士が気兼ねなく意見を言い合える場だ。たとえ喧嘩しても次の日にはまた笑って会うことができる。同胞の核家族化も進んでいるし、郊外に移っていく同胞も増えた昨今、同胞同士の関係は昔に比べて希薄になっている。だからこそ同胞同士の糸が切れないよう分会がみんなの集える場にならなければと思う」

(周未來)

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