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中大阪初級で一般公開授業、民族教育の歴史と今を知る機会に

2013年06月26日 11:24 民族教育

大阪市の不当な提訴に怒り

民族教育歴史資料室を見て回る参加者たち

民族教育歴史資料室を見て回る参加者たち

中大阪朝鮮初級学校一般公開授業「ウリハッキョの事もっと知りたい!!」(主催=同実行委)が6月22日、同校で行われた。実行委員会の構成団体でもある「中大阪朝鮮初級学校とともに歩む会」のメンバー、同校保護者と地域同胞ら、元国会議員、「朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪」共同代表と会員ら、弁護士、東成区内の小・中学校関係者、大阪市教職員組合など労組関係者、日本の大学教員と学生、大阪市内の各朝鮮学校を支援する会、周辺住民、民族団体メンバーなど、280余人が参加した。福岡県や福井県から駆け付けた日本市民もいた。

公演を披露する園児たち

公演を披露する園児たち

授業・保育参観の後、学習会「中大阪朝鮮初中級学校(大阪市立西今里中学)の歴史を振り返る」が行われた。鄭祐宗(大学非常勤講師)さんが講師を、高龍秀(甲南大学教授)さんが司会を務めた。

鄭さんは、祖国解放直後に東成区で設立された国語講習所を母体に開校した東成朝鮮学園が、学校閉鎖令により強制的に閉鎖された後、同胞らの闘いにより、1950年から61年までの間、大阪で唯一の公立朝鮮人学校として存在した大阪市立西今里中学校の誕生秘話などを詳しく解説した。またその間、日本人教員とともに多くの在日朝鮮人も教鞭をとり、最盛期には約2千人の朝鮮学生に対し民族教育が行われた歴史を、当時の貴重な資料を基に紹介した。

鄭さんは、「学校閉鎖命令の執行責任は、日本政府、とくに法務総裁(元法務大臣)と文部大臣にあったが、この政策と責任を肩代わりしたのは大阪市だった。これが、西今里中設立から廃止までの時期に表れた。国策としての学校閉鎖命令、分校化(公立朝鮮人学校)に責任を負うのは、当然日本政府だ」と指摘した。したがって、大阪市が中大阪初級の土地の明け渡しを求めた裁判が行われているが、「歴史的にみれば、問題解決の軸は大阪市対大阪朝鮮学園ではない。日本政府が責任をもって解決すべき問題だ」と強調した。

西今里中学校学で教鞭をとった朴鐘鳴さん

西今里中学校学で教鞭をとった朴鐘鳴さん

講演後、当時西今里中学校学で教鞭をとった朴鐘鳴さんが、ともに教鞭をとった日本人教師についてなど、当時の様子を生々しく語った。

その後、同校児童らによる文化公演、同校卒業生で現在、大阪朝鮮歌舞団で舞踊家として活躍する白佳実さんの独舞が披露された。

同校を訪れた教育関係者の一人は、「民族教育を進める立場と排除しようとする立場がぶつかる中で、何とか今日までこの学校が守られてきたという重みを感じた。もっと在日朝鮮人の教育について学ばなければならないと思った。(この学校に携わった)日本人教師の存在を知って、自分も頑張りたいという希望のようなものがこみ上げた」と感想を残した。

校庭では、焼肉交流会が行われ、保護者や地域同胞ら、日本人参加者らが親ぼくを深めた。交流会では、獅子舞クラブの公演、ドキュメンタリー映画「60万回のトライ」(今秋、公開予定)監督の朴思柔さんのアピールなどがあった。

またこの日は、昨年12月にリニューアルした民族教育歴史資料室が参加者に公開された。同資料室は、同校開校当時から現在までの写真や資料を展示するため、東成地域青商会が昨年2月に開設したもの。

この日、同校を訪れた人々は、大阪市と朝鮮学園が知恵を出し合い朝鮮学校を守ってきた歴史に触れ、それを踏みにじる大阪市の不当な土地明け渡し要求や補助金廃止に怒りを露にし、一日も早く子どもたちが安心して民族教育を受けられる日が来ることを望むと口をそろえた。

【東成分局】

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