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〈第5回セッピョル学園〉「また会える」が支えに、友情育み繋がる喜び

2013年06月20日 17:17 民族教育

北関東・東北の広大な地域に点在する朝鮮学校生徒たちが、それぞれの繋がりを実感できるようにと2009年から毎年開催されてきた「セッピョル学園」が今年で5年目を迎えた。回を重ねるごとに生徒たちの友情は着実に深まると同時に、学園生活を通じて出会った友だちの存在はいまや格別なものになっている。今年は、北海道初中高の生徒たちも初参加。朝鮮学校同士の繋がりの輪はいっそう広がった。「第5回セッピョル学園」(13日~15日、茨城初中高)では連日、その喜びをかみ締めるように笑顔を浮かべる生徒たちの姿が溢れていた。

焼肉交流会の後に行われた「学年別のど自慢大会」。息の合った歌や踊りが披露された。

焼肉交流会の後に行われた「学年別のど自慢大会」。息の合った歌や踊りが披露された。

5年目の友情、深まる絆

「セッピョル学園」初日、会場となる茨城初中高の玄関先では「毎年おなじみの光景」が広がっていた。各地域から参加校のバスが順次到着する度、歓声を上げて出迎える生徒たちの姿だ。ネームプレートがなければどの学校の生徒か見分けがつかないほど溶け込み合い、互いに手を繋いでは久しぶりの再会に沸いていた。

初めて参加した1年生たちは、多くの友だちに出会った喜びから終始大はしゃぎだった。

初めて参加した1年生たちは、多くの友だちに出会った喜びから終始大はしゃぎだった。

「前日は、楽しみで眠れなかった」と話す新潟朝鮮初中級学校の金美亨さん(中級部1年)は、「初めて会ったときはぎこちなかったけど、毎年参加するうちに少しずつみんなと話せるようになった。人数が多いとそれだけで楽しい。(日頃は離れているけど)今では気持ちはいつも繋がっているということを、常に実感している」と嬉しそうだ。

「セッピョル学園」では毎年、初級部から中級部の生徒たちが、それぞれ学年別に構成されたクラスに分かれて共に2泊3日の学園生活を送っている。開催期間中は、ホームルームや授業、運動会など、日頃の生活内容に近い形で様々な企画が行われる。東日本大震災により甚大な被害を受けたにも関わらず毎年欠かさず開催されることによって生徒たちの間で芽生えた友情は、固い絆に変わり始めたようだ。

今年も大いに盛り上がった大運動会では、ごく自然に互いの名前を呼び合いながら声援を送り、抱き合って勝利を喜ぶ生徒たちの姿があった。また、その後行われたクラス別のど自慢大会では、生徒たちが歌や踊りを披露。限られた時間の中で練習したとは思えないほど、息の合った演出が数多く繰り出された。

「来年もまた『セッピョル学園』で合おう」と約束しあうする生徒たち。

「来年もまた『セッピョル学園』で合おう」と約束しあうする生徒たち。

連日、夜遅くまで同級生の女生徒たちと枕投げを楽しんでいた高雅琳さん(初級部4年、福島初中)は、「みんなといると何をしていていも、すごく楽しい」と満面の笑みを浮かべ、「学校では男子と2人きりのクラス。ここでは、たくさんの女の子たちと日頃話せない会話が出来た。みんなとは毎年会っている分、今では深い話もできるようになった。同級生の名前と顔は、男女関係なく全員覚えている」と話した。初級部1年時から「セッピョル学園」に参加しているという彼女にとって、「ここで出会った友だちの存在は、特別。(日常生活を送る上での)自分の支えのひとつになっている」という。「みんなともっと一緒にいたい。もう来年の『セッピョル学園』が待ち遠しい」と目を輝かせた。

東北朝鮮初中級学校の李大心さん(中級部3年)は進路問題を考えるにあたり、「セッピョル学園」での経験に影響を受けているという。「北海道の生徒たちが参加した今年は、いっそう友だちが増えて嬉しかった。運動会もよかったけど、みんな一緒に過ごす何気ない時間が一番楽しかった」と振り返った。「来年には高校進学だ。日本学校に行くか朝高に行くかという迷いがあるけど、ここであったたくさんの友だちともっと一緒にいたいという思いは強い。日頃のクラスでは同級生が3人しかいないけど、5年間の『セッピョル学園』を通じて、自分にはたくさんの友だちがいることを実感できた」と語っていた。

(周未來)

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