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橋下市長の「慰安婦」容認発言、日本外国特派員協会で質問続く

2013年05月28日 16:24 主要ニュース 暮らし・活動

「人身売買、容認するのか」

橋下徹・大阪市長が、「軍隊に『慰安婦(日本軍性奴隷制度)』制度は必要であった」「(沖縄海兵隊司令官に)風俗業を活用してほしい」と発言し(5月13日)ことと関連し、27日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で橋下市長による記者会見が行われ、内外の396人の記者が集まった。

海外の記者からは、橋下市長が、日本が植民地支配したアジア各国の女性を「性奴隷」化したことを、「当時の日本が国をあげて強制的に拉致したわけではない」「歴史学者、政治家の中には民間業者が行ったという主張は多い」と発言したことに対し、「人身売買を容認するのか」とその認識を質す質問が続いた。

「国際的な人身売買の定義には、女性を騙したり拉致する最初の取引から、移送・拘束、意に反して働かせるなど、すべての過程が含まれる。市長は、『慰安婦』制度が当時の認識として人身売買ではなかったと考えているのか」(ニューヨーク・タイムズ記者)、「奴隷制度を容認するような市長の発言は、法律で人身売買を禁じたフランスを含めヨーロッパで驚かれている。もし、当時の日本政府、軍が強制連行や拉致を行っていることを知っていて何もしなかったのなら、その段階で軍が関与していたと考えられないのか。そうでなければ、誰がこの問題の責任を取るのか」(フランス人記者)―。会場には、最後まで「証拠がない」ことを口実に、国家の戦争責任を否定する市長の歴史認識欠如と人権感覚を疑問視する声もあがった。

橋下市長はこの日、自身の考えを日本語と英語の文書で発表。質疑の中で、過去に是正を主張していた(2012年8月24日)「河野談話」について「全否定しない」と主張を変えたが、それを問題視する質問もあった。香港・フェニックステレビの李淼・東京支局長は、「市長の説明は不明確で矛盾がある。河野談話は日本軍の直接、間接の関与を認めている。市長は、軍は関与したが強制性はなかったと思うのか、国は関与せず強制性もなかったのかと思うのか」と真意を質したが、答えは得られなかった。李さんは「日本の大きな政党のリーダーが外国人に風俗業を勧めたことは道徳・人格的にあまりに問題があり、発言撤回は当然のことだ。しかも、『慰安婦』問題について発言を撤回しなかったし、本心はわからない」と納得できない様子だった。

デンマークのユランズ・ポステン新聞のトーマス・ホイ・デビットソン記者は、「欧州では戦時中に何が起きたのかという事実について、歴史家による研究がなされ、すでに決着がついている。橋下市長は日本軍や国家の関与を疑問視する発言を繰り返していたが、証拠が出てこなければ認めたくないという考えがにじみ出ていた」と語る。

(張慧純)

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