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「他者感覚」持つことが大事/浅井基文氏が朝鮮大学校で講演

2013年05月15日 09:20 朝鮮半島

朝鮮大学校時局講演(主催=朝鮮大学校朝鮮問題研究センター)が13日、同校講堂で行われ、学生、教職員のほか、同胞、日本市民などが参加した。

元外務省高官で、東大教授などを歴任した浅井基文氏が講師として招かれ、「最近の朝鮮半島情勢をどう考えるか」と題した講演を行った。

講演会のようす

浅井氏はまず、朝鮮の人工衛星打ち上げを制裁対象とした国連安保理決議の採択により、朝鮮半島情勢が悪化したことに言及したうえで、朝鮮の核・ミサイル政策と関連して、その政治軍事的本質と国際法的側面について詳しく説明した。

浅井氏は、朝鮮の核・ミサイル政策の政治軍事的本質は、自己防衛的な対米抑止力及び外交交渉力の構築と、宇宙開発的側面にあると指摘した。

一方の国際法的側面と関連して、世界の核・ミサイル問題をめぐる国際法上の枠組みの有無について話しながら、朝鮮の人工衛星打ち上げが「ミサイル発射」と称され国連安保理制裁決議採択にまで至ったことの問題点について指摘した。

浅井氏は、「安保理が朝鮮の人工衛星打ち上げに対して制裁決議を採択したということは、すなわち宇宙条約という国際法上のすべての国に認められた権利の行使を否定したということを意味する」と述べた。

また、朝鮮の核・ミサイル問題が複雑化してきた根本原因は、米ソ冷戦終結後の国連安保理における大国協調体制にあると指摘した。

浅井氏は続いて、今後の朝鮮半島情勢打開の可能性について、朝鮮をはじめ南朝鮮、米国、中国、日本といった関係諸国それぞれの政権の政治・軍事・外交における立場を用いて検証した。

浅井氏は、李明博政権の対北強硬政策とも金大中・盧武鉉両政権の太陽政策とも異なる「第3の道」を模索している南朝鮮の朴槿恵政権、第2期政権に入り外交的成果を追求するであろう米オバマ政権、東北アジアにおける核拡散の引き金となることを恐れ朝鮮の核武装に反対する中国の習近平政権がどのような出方をするかが、今後の情勢打開のための重要な変数になると展望した。

一方、日本に関しては、「影の薄い(いずれの国からも相手にされない)存在」であるとした上で、最近浮き彫りになっている深刻な歴史認識や「北朝鮮脅威論」を利用する軍事大国化策動をもってしては、朝鮮半島情勢においてマイナス要因にしかならないと話した。

浅井氏は、外務省などで培ってきた経験上、国と国との外交において、「相手が何を考え、何を目指しているのかを相手の立場に立って考えること」、すなわち「他者感覚」をもってアプローチすることが大切であると話した。

(金里映)

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