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〈取材ノート〉差別禁止法の制定は急務

2013年04月12日 11:22 コラム

朝鮮学校への「高校無償化」適用と各自治体の補助金支給を求める「3.31全国集会」の後、同胞、日本市民らがシュプレヒコールを叫びながらデモ行進をしたが、そこには多数の「妨害者」たちが現れた。

銀座の数寄屋橋交差点に差し掛かった頃、極右集団が一斉に「朝鮮人を叩き殺せー!」などと聞くに耐えない暴言をわめき散らした。そのようすに、背筋が凍りそうな思いをしたが、怒りとやるせなさで目を真っ赤にさせながらも声を上げ続けるオモニたちの姿に勇気づけられ、共に歩を進めた。

「朝鮮人を叩き殺せー!」などという暴言は、諸外国ではれっきとした犯罪にあたり、刑事罰が科せられるヘイトクライム(憎悪犯罪)である。

しかし、日本では取締りの対象とならないのが現実だ。差別禁止法が実質的に存在しないためである。

日本が批准している国際的な人種差別撤廃条約は、その4条で人種差別の扇動を法律で禁じるよう求めている。同条約に基づいて設置された人種差別撤廃委員会は、これまで2度に渡って日本政府に立法措置をとることを勧告した。

にも拘わらず、日本政府は「正当な言論を萎縮させる危険を冒してまで、処罰立法を検討しなければならないほど、現在の日本で人種差別の扇動が行われているとはいえない」として、勧告を留保し続けてきた。日本では「言論の自由」は排外主義者のものなのか。

他の多くの批准国には、すでに刑事罰規定のついた人種差別禁止法がある。日本政府はいい加減、日本国内における差別の事実を認め、その実態を調査し、人種差別撤廃委員会の勧告を取り入れて、差別禁止法の制定や国内人権機関の設置に取り組むべきである。(里)

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