115人の犠牲者を出した「大韓航空(KAL)機858便事件」の実行犯とされている金賢姫が15日夜、南朝鮮の「文化放送」(MBC)テレビに出演し、自身の「偽物説」を否定した。
MBCはこの日、通常の番組を取り消し、急きょ金賢姫の対談番組(約60分)を編成した。MBC労組によると、MBC側は今回の番組編成について、「放送文化振興会の決議にそった後続措置」であると明かしたという。
MBC労組は、昨年、MBCの大株主である放送文化振興会が、2003年11月18日に放送されたMBCの調査報道番組(「PD手帳」)に対して「わい曲放送」であると表明した後から、今回の対談番組の編成が進められてきたものと見られると主張した。
当時「PD手帳」は、「金賢姫が真犯人ではないかもしれない」という疑惑と関連して事件の真相を追跡し報道した。これに対抗して放送文化振興会は昨年、金賢姫に関する真相を調査する必要があるという決議を採択した。
MBC労組は声明書を発表し、「放送文化振興会の決議にそった後続措置」だというMBC側の立場に対し、「これは明確な越権行為であり不法行為である」と非難。「放送文化振興会にはMBC放送に対する編成権などまったくない。法的な権限はMBCの経営に対する管理監督権だけである」と主張した。
番組放送後、野党・民主統合党の朴用鎮・スポークスマンは、「金賢姫の話には新しい内容が一つもなかった」としながら、「MBCの大株主であり、経営監督の権限をもった放送文化振興会の中の与党側の一部理事らが、露骨に番組編成に介入したという疑惑がふくらんでいる。これは深刻な問題」だと指摘した。
一方、放送に先立ち、「KAL858便事件」の関連団体は強く反発した。
「KAL858便家族会」は15日の午後に緊急声明を発表。声明は、「家族会は金賢姫の嘘を暴こうと昨年3回にわたって公開討論会を同氏に要求したが、すべて拒否された」としながら、「MBCが国民の公営放送であるならば、いまだ国民の疑惑を招き続けている金賢姫を絶対に出演させてはならない。金賢姫とKAL858便家族たち全員を出演させて公開討論会をするのが常識ではないのか」と指摘した。
また、「この時期に放送社が何の意図をもって金賢姫を出すのか底意が疑わしい。独裁者・朴正熙の娘が大統領に当選したことで、再び維新独裁の反共時代をよみがえらせ、過去へと回帰させようという意図があるのではないか」「もし朴槿恵次期大統領の引き継ぎ委員会がMBCに金賢姫が出演するのを黙認し傍観するのであれば、朴槿恵氏が言った『国民幸福時代』は、結局は国民を欺く行為だったことになる」などと非難した。
対談番組で金賢姫は、2003年11月18日に放送された「PD手帳」は「わい曲報道」であるとしながら、「(疑惑提起に)関与した人たちは法的責任をとらなければならない」と述べた。「偽物説」を認めない理由について、「私が偽者なら、どうなる? 韓国が858便を爆破したテロ国家になる。テロをした北朝鮮は、濡れ衣を着せられたことになる」と話した。
1987年11月29日、第13代大統領選の直前に起きた。与党候補に決定的に有利な状況をつくり、遺体や遺品が何ひとつ発見されていないことなどから数々の疑惑が残っている。
(朝鮮新報)