「朝銀カップ」中四国九州初級部サッカー大会、同胞が一丸となって運営

本選は広島が6連覇

「朝銀カップ2012」第39回在日朝鮮学生中四国九州地方初級部サッカー大会が1、2日にかけて福岡で開催され、中四国、九州地方の朝鮮学校初級部サッカー部の選手や関係者、同胞ら562人が参加した。

同大会は、朝鮮学校が日本の公式大会に出場できなかった時期に、朝鮮学校サッカー部の強化と発展を見据え選手育成に努めた、中四国地方の指導者たちの熱意によって始まった。その後、九州地方の朝鮮学校も参加するようになり、学校関係者のみならず、各地の同胞とサッカー愛好家たちの温かい支援の下、第39回目を迎えた。

大会に参加した児童らは、朝鮮代表選手やJリーガー、サッカー指導者を含め、地域同胞社会を担う人材へと成長した。

今大会からは、中四国、九州地方の民族金融機関である朝銀西信用組合が、大会のメインスポンサーとして運営をバックアップすることになった。大会の発展と充実化を図るとともに、未来を担う子どもたちを育み、地域社会と教育事業の一層の活性化に取り組もうという趣旨で、大会参加校の校長らの提案で決まった。

「朝銀は子どもたちの未来を応援します！」というキャッチフレーズのもと、「朝銀カップ」の名称で新たなスタートを切った大会は、寒さを吹き飛ばすかのようなサッカー熱に沸いた。

開会式で、朝銀西信用組合の呉相錫副理事長は、「今大会の最大の焦点は、広島の6連覇達成か、それを他校が阻止するのかに向けられている。選手たちが日々の練習の成果を発揮してほしい。大会を支える関係者、支援者に感謝するとともに、朝銀西信用組合も一緒に子どもたちを応援していきたい」と述べた。各チ－ムと全選手に記念ボ－ルと記念品が贈られた。

大会には、本選6チーム、育成3チーム、90人の選手が出場した。

本選決勝では、6連覇を目指す広島と、優勝候補の岡山・四国Aを下して勝ち上がった福岡Aが対戦。前半は、今大会11得点で得点王に輝いた金成龍選手のゴールで福岡がリードした。しかし、堅い守備でペースを掴んだ広島が後半、立て続けにゴールを奪い、3－1と逆転。見事6連覇を達成した。

「どちらが勝利してもおかしくなかった」と評されるほど、見ごたえのある戦いだった。観客席からは両チームの選手たちに温かい拍手が送られた。

3位決定戦では、将来性豊かな選手をそろえた岡山・四国Aが、ねばる北九州・山口合同に勝利した。

育成では、福岡・北九州・山口合同が、岡山に勝利し、広島をPK戦で下し優勝した

9チ－ムが参加したPKアトラクション大会では、広島Aが優勝した。

閉会式では、優勝した広島に優勝カップが授与された。新調されたカップのプレ－トには、38回大会までの優勝校の名前が刻まれている。そのほか、優秀選手賞などの表彰もあった。九州青商会賞（応援賞）には、40回大会開催地の山口朝鮮初中級学校が選ばれた。

 大会支えた同胞ら

大会初日の夜には、福岡朝鮮初級学校アボジ会主催「中四国九州地方ウリハッキョ保護者交流会」が6校48人の参加の下で行われた。明るく活気ある雰囲気のなか、保護者たちが親ぼくと交流を深めた。

参加者からは、「子どもたちのはつらつとしたプレーからたくさんの元気をもらった」「これからも民族教育を守っていかなくてはと切実に感じた」「教職員、保護者、朝銀、青商会、朝青が一体となって運営した素晴らしい大会だった」「審判がサッカー協会の有資格者だったので公平性が保たれよかった」などの感想が寄せられた。

大会運営を支えたのは、学校保護者会、青商会、朝青、朝銀職員たち。厚生部門を受け持った福岡初級の保護者会は、ピビンパとワカメス－プなどを選手や来場者に振舞った。九州青商会は、朝銀西信用組合と共に、物心両面にわたって大会を全面的に支えた。前日の準備から当日の後片付け、弁当配布やグランド整備など、九州青商会会員たちに刺激を受けながら、朝青員たちも大会の円滑な運営に一役買った。

スタッフの一員として奔走した福岡地域青商会の韓満寿副会長（36歳）は、「今年結婚したのだが、選手たちを見ていると、早く子どもが欲しくなった。来年の山口大会にも行って選手たちを応援したいし、何でもいいから手伝いたい」と感想を述べた。

大会実行委員長を務めた福岡初級の趙星来校長は、「選手たちは、これからも教員の指導のもと、朝鮮学生としての誇りを胸に、日々心と体を鍛えてほしい。君たちが朝鮮人として世界を舞台に大きく羽ばたくことを願っている。来年の中央大会（コマチュック）で、中四国九州地方の学校が必ずや旋風を巻き起こすことと確信している」と力強く語った。

第40回の記念大会は来年、山口で開催される。

【大会実行委員会事務局】