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兵庫の女性たちが手作りチョゴリをプレゼント

2012年11月29日 18:21 文化・歴史 民族教育

届け! 福島の子どもたちへ

半年かけて11着分制作

「福島のウリハッキョに通う子どもたちのために何かがしたい!」との思いを抱き、兵庫を中心とした女性たちが、手作りのチマ・チョゴリとパジ・チョゴリを福島朝鮮初中級学校の初級部全児童(11人)にプレゼントした。発起人は、神戸市在住の黄優鮮さん(34)。一男一女の母である黄さんは、チョゴリのデザイン&制作を手がけている。

型紙に合わせて裁断する

黄さんがチョゴリを作るきっかけとなったのは、幼い頃から1世のハルモニが見せてくれたチョゴリに対する愛着をそばで見て育ったからかもしれない。彼女はいつしか、優雅で長い歴史の中で女性たちによって守り抜かれてきた民族衣装を、日本で生まれ育つ若い世代にも好んでもらえるようにと、様々なシーンで使われるチマチョゴリを自分なりに作っている。

「朝鮮大学校を卒業したので、東北や福島にも知り合いが多い」という黄さん。被災地の子どもやその親の心中を気遣い、「何をしたら良いのか」を思いあぐねていた。

「自分にできることをできる範囲内でやろう」と考え、その末にチョゴリのプレゼントを思いついた。ソーシャルネットワークなどを通して協力者を募ると、朝鮮学校に理解を示し、チョゴリの制作に興味をもつ女性がたちが名乗りを上げた。

衣装の制作に必要な生地は、参加者の持ち寄りと同胞や日本のチョゴリ業者が、進んで提供してくれたものでまかなった。チョゴリ作りに関しては、黄さん以外は全員初心者。神戸、尼崎、大阪などから集まった、30~40代の女性15人くらいが、入れ替わり立ち代り、週に一度、約半年間かけてチマ・パジチョゴリとチョッキ、ポソン、女児にはヘアアクセサリー、男児には長めの合わせチョッキ11着分を作り上げた。

出来上がったチョゴリは、チマとパジの色こそ統一されているものの、その他の配色は微妙に異なる。「これは『持ち寄り』効果。生地そのものや、色の組み合わせ、縫い目の一つひとつに、たくさんの人たちの温かい気持ちがギューっと詰まっている」。

出来上がった色とりどりのチョゴリ

女性たちは、心を込めて作った民族衣装を身にまとい、笑顔を浮かべる子どもたちの姿を思い描きながら、各自が配色を考え、針仕事を進めていった。「毎回、10時前後に集合して解散する14時まで、皆が精を出して作業した。それぞれ地域が違うので、学校のことなど幅広い情報交換ができたのも楽しみの一つだった」と振り返る。また、日本人の参加者は、朝鮮学校という新たな世界を知って、そのコミュニティの温かさを感じたと話す。

こうした作業風景は、随時ネットで紹介された。「作り手の中には赤ちゃん連れもいて、チョゴリ1枚を手がけた人や、チマ1枚だけ縫った人もいる。ブログには応援メッセージが寄せられて、中には福島初中に子どもを通わせるオモニもいた。『うれしい。子どもも楽しみにしている』とのコメントは、作り手たちの大きな励みとなった」。

できあがった色とりどりのチョゴリには、「多くの同胞たちが、福島の子どもたちのことを思っているよ」との温かいメッセージが込められている。「子どもたちのために、一人で何かをするのではなく、女性たちと心と力を合わせてやり遂げられたことが嬉しかった。この思いを今後も大切にしていきたい」と話す黄さんの声が弾んでいた。

(金潤順)

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