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強制連行真相調査団結成40周年集会、東京で

2012年08月20日 11:58 主要ニュース

日本は過去清算果たすべき

朝鮮人強制連行真相調査団結成40周年記念集会が18日、東京・千代田区一ツ橋の日本教育会館で行われ、各地調査団メンバーなど約100人が参加した。

貴重な発言が相次いだ調査団結成40周年集会

集会ではまず、主催者を代表して、調査団朝鮮人側中央本部団長である総聯中央の朴久好副議長兼権利福祉委員会委員長があいさつ。朴副議長は、日本の植民地統治から解放され67回目となる8月15日を迎えたが、日本は朝鮮民族に対する謝罪と補償はおろか、不法に行われた植民地統治を正当化し、日本軍性奴隷問題や関東大震災朝鮮人大虐殺の事実を削除した教科書を検定通過させるなど、過去の侵略戦争と反人類的犯罪行為の蛮行を歪曲、隠蔽しようとしていると指摘した。また、朝・日平壌宣言10年を迎えてなお、不当な「経済制裁」措置を解除しないばかりか、高校無償化制度から朝鮮高校を除外し続けていると強調した。

そのうえで、日本政府は平壌宣言にのっとり両国間の異常な状況を一日も早く是正するべきだと主張した。

報告を行った、調査団日本人側全国連絡協議会の原田章弘共同代表は1972年の結成以降40年間の活動を振り返った。調査団では、同年に沖縄県で初めて日本軍「慰安婦」被害者を確認して以降、総聯沖縄県本部が被害者の生活支援とケアを始めたことを皮切りに、戦争末期に朝鮮人を地下施設工事に連行した事実の調査、強制連行被害者の名簿公開、また国連での問題提起など、幅広い活動を行ってきた。

原田共同代表は、いま早急に解決すべき課題は、朝鮮学校が高校無償化から除外されていることだと述べ、「日本にコリアンが存在する特殊な歴史的背景を(より広範な人々に)知らせるべきであり、制度適用を勝ち取らなければならない」と訴えた。

集会では続いて、「朝鮮高級学校生徒への高校無償化排除は重大な人権侵害」と題してシンポジウムが行われ、佐野通夫・子ども教育宝山大学教授、戸塚悦郎・龍谷大学元教授、金東鶴・在日本朝鮮人人権協会中央本部事務局長が発言した。

シンポジウムで発言するパネラーたち

佐野教授は、朝鮮植民地統治下での民族性剥奪と皇民化政策について述べ、朝鮮総督府の作った教育制度の目的は、日本統治下の社会において、短い教育年限によって日本人より低い資格とし、日本人の下で日本語を話す補助としての植民地人を養成することだったと指摘。また日本政府は解放後も朝鮮学校の存在を認めようとしなかったとしながら、2000年代になってからも、朝鮮学校への執拗な攻撃が続けられていると強調した。

戸塚元教授は、重大人権侵害の被害回復を求める権利について語り、国連では「慰安婦」や強制連行などの犯罪に対する処罰の問題が論じられているが、日本では「慰安所」設置に軍、官憲の関与を認めた河野談話(1993年)はあるものの、実際には何らの補償も行われていないと強調した。また、朝鮮学校への差別問題は重大な人権侵害だと述べ、今後、国連機関への働きかけを強めていく必要性を話した。

金事務局長は、高校無償化制度をめぐる動きを振り返るとともに、地方自治体からの教育補助金の廃止、削減などの問題と関連した日本各地での活動について述べ、これまで蓄積された経験を学びいかす必要性を訴えた。

また問題解決のためには行政、マスコミ、市民運動などに多角的にアプローチしていくことが大切だと述べ、心ある日本市民たちと手を携え、より大きな権利を勝ち取っていこうと呼びかけた。

集会では最後に、アピールが採択された。アピールでは、日本の過去清算がいまだなされず、歴史の偽造が大規模に行われていると同時に、高校無償化からの朝鮮学校除外など差別が進行していると指摘。調査団は、強制連行の調査活動を引き続き進めるとともに、被害回復のための立法活動の前進、在日朝鮮人の尊厳の保障と法的地位の確立のための活動に力を注ぐと強調した。

調査団は1972年8月15日、第2次大戦時沖縄朝鮮人強制連行虐殺真相調査団として発足した。それまで日本政府は朝鮮人強制連行の真相解明を一切実施せず、朝鮮人と日本人合同による調査団が初めて本格的な調査を開始した。1973年には北海道、74年には九州、75年には東北地方の調査を行い、79年には広島、長崎の朝鮮人被爆者の実態調査を行った。90年からは日本各地25の都道府県で調査団が結成され、地域に密着した形で調査活動が展開されている。

 (朝鮮新報)

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