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【投稿】朝鮮女子サッカーの歩み、世界の頂点目指し

ロンドン五輪、U-20女子W杯決戦へ

ロンドン五輪女子サッカー競技の組み合わせ抽選会が4月24日に行われた。グループGに入った朝鮮女子代表は、世界ランキング1位の米国、そしてフランス、コロンビアと対戦する。今年はさらに、8月に日本で開催されるFIFA U-20女子W杯(2002年から2年に一度開催)にも朝鮮代表が出場する。両大会での活躍が期待される。

 86年に産声、88年初対外試合

U-20女子W杯ロシア大会では圧倒的な強さを見せつけ優勝した(写真=聯合ニュース)

女子サッカーの歴史は、約110年ほど前にイングランドで始まり、オランダ、フランス、スウェーデンをはじめヨーロッパ諸国で盛んになり、1960年代に日本でも普及し始め、80年代初頭には米国を含め世界に広がった。こうした流れに比べて朝鮮女子サッカーの歴史は決して長くない。

86年にメキシコで行われたFIFA(世界サッカー連盟)総会で、ノルウェーサッカー協会が「人類の半数は女性で、FIFAは女子サッカーにもっと力を入れるべきだ。そして女子サッカーが持つ限りない将来性に目を向けなければならない」と提案。これを機に88年、中国で国際親善大会が行なわれ、2年後の91年には、後にFIFA女子W杯と呼ばれる第1回女子サッカー世界選手権大会が中国で開催された。

このような流れの中で、FIFAは女子サッカーを自国のサッカー協会の傘下に置くよう通達。朝鮮でも86年のFIFA総会後、女子サッカーの普及と発展に力を注ぎ始めた。これが朝鮮女子サッカーの始まりと言われている。

この年、4.25体育団、平安道体育団などいくつかの女子サッカーチームが発足。5月19日には、女子サッカーチームによる初めての強化練習試合が行われた。

こうして産声を上げた朝鮮女子サッカーは、基礎練習と国内での練習試合を繰り返し、88年8月に中国での招待競技に初めて出場した。

そして直後の1月、4.25体育団のメンバーを中心にチャ・ジョンソク氏を監督とする朝鮮女子サッカー国家代表チームが構成された。国際競技への初参加は翌年の12月、香港で開催された第7回アジア女子サッカー選手権大会(8カ国参加)だった。

結成1年、経験不足の朝鮮女子代表チームは、中国に1-4、チャイニーズ・タイペイに1-3で破れ、タイに4-0で勝利。予選リーグで敗退し、8チーム中6位だった。成績は振るわなかったものの、この戦いは大きな経験となった。

朝鮮女子代表は、翌年から積極的に国際舞台に進出する一方、国内での競技人口の拡大と競技大会の拡充も図った。

 強豪国として君臨

現在、朝鮮では学校、区域や市、道単位でチームが作られている。そして小学校、中学校(日本の中学校、高等学校)それぞれの区域別競技と全国大会が行われている。そして少女たちのクラブチームも活動している。市や道の体育団、クラブチームには主にレギュラー組、サテライト組、養成組(ジュニア)が設けられている。

最近は大学で女子サッカーが行われ、キム・チョルチュ師範大学などでは選手とともに女子サッカー指導員(教師)も積極的に育てている。

2003、2007年度にAFC女子最優秀プレーヤーに選ばれるなど、朝鮮女子代表のエースとして活躍したリ・クムスク選手

国内競技大会およびリーグ戦としては「万景台賞」競技大会、「普天堡烽火賞」競技大会、「共和国選手権大会」などがあり、2010年からはこれらの競技大会を含め2月から10月にかけて年に6回、「最上級リーグ戦」が開催されている。下部リーグも存在し、戦績によって入れ替えもある。

女子のクラブチームには4.25体育団、鯉明水体育団、小白水体育団、鴨緑江体育団、月尾島体育団、烽火山体育団、平壌市体育団、機関車体育団、国家総合青少年チームなど10数個の体育団とクラブチームがある。このうちの上位8チームが「最上級リーグ戦」に出場している。ここ1、2年のリーグ戦では、烽火山体育団の活躍が目立っている。

こうした場で活躍した選手たちが国家代表チームに選抜され、朝鮮国旗を胸に国際競技のピッチに立っているのだ。

朝鮮女子サッカー代表チームは1989年の第7回アジア女子サッカー選手権大会出場以来、2010年までにAFC女子アジアカップで優勝3回(01年、03年、08年)、準優勝3回、3位2回の成績を残している。

ちなみに昨年、第6回女子W杯で奇跡の優勝を遂げた「なでしこジャパン」こと日本女子代表チームはAFC女子アジアカップでの優勝経験がない。

国内外の大会で名を馳せた朝鮮女子サッカーが世界に誇る名選手を紹介したい。

10年以上代表に選ばれ続け、40数試合の国際試合に出場し、「鉄壁のゴールキーパー」と呼ばれたリ・ジョンフィ選手。国際試合で70以上のゴールを決め「赤い弓矢」と呼ばれたストライカー、チン・ピョルフィ選手。第13回、14回AFC女子アジアカップで15ゴールずつ挙げ得点王に輝き、2003、2007年度にAFC女子最優秀プレーヤーに選ばれたヘディングの名手、リ・グムスク選手。現役を引退した彼女たちは現在、各自クラブチームに所属して指導者として活動している。

朝鮮女子代表はアジアばかりでなく、FIFA女子W杯にも4大会連続で出場した。第5回女子W杯北京大会ではナイジェリアを破り、強豪・米国と引き分けて予選リーグを突破。決勝トーナメントでは、この大会で優勝したドイツに敗れたもののベスト8にまで進出した。そして過去5回行われたU-20女子W杯では優勝と準優勝を成し遂げている。

このような活躍により、朝鮮女子サッカーは03年から公表されたFIFAランクにおいて常に10位以内をキープする強豪国となった。

進む世代交代、スピード強化へ

朝鮮女子代表に声援を送る在日同胞学生たち(2004年、東京・国立競技場)

1990年代末から2000年代まで朝鮮女子サッカーを担ってきた選手の多くが第一線から退いた。世代交代が進む現在、朝鮮女子サッカーは欧米に劣る体格的ハンディを体力とスピードで補うべく、チーム強化を図っている。

ロンドン五輪には、開催国のイギリスと予選を勝ち抜いた朝鮮、日本、米国、ブラジルなど12カ国が参加する。グループGに属した世界ランキング8位の朝鮮代表は、コロンビア(28位)、フランス(6位)、米国(1位)と対戦する。昨年のW杯で不本意な成績に終わった朝鮮代表の奮闘に期待する。

U-20女子W杯に、アジアからは開催国日本と朝鮮、中国、そして南朝鮮が参加することになった。これに他の大陸から12カ国、計16チームが出場する。朝鮮はグループCでノルウェー、アルゼンチン、カナダと戦う。

U-20女子代表のなかでユン・ヒョンフィ選手に注目したい。ユン選手は昨年の「AFC U-19女子サッカー選手権大会」(5試合)で、出場3試合で5ゴールを上げ、日本の京川舞選手とともに大会の得点王になった。

5月23日には平壌でU-20女子朝鮮代表と中国代表の親善試合が行われた。朝鮮は予想通りの試合を展開。注目選手であるキム・ウンファ選手、クォン・ソンファ選手らが得点し4-0で圧勝した。

U-20女子朝鮮代表には2006年大会以来の優勝の期待がかかる。戦いの場は日本。多くの在日同胞の声援でスタジアムを「ホームグランド化」しよう。

ロンドン五輪とU-20女子W杯に出場するメンバーを中心に、朝鮮女子サッカーはサッカー強国、そして世界の頂点を目指している。選手たちに熱いエールを送りたい。

(金世正・朝鮮大学校教授)