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〈朝鮮と日本の詩人 97〉吉田欣一

朝鮮の女、毅然たる姿

霜柱の崩れた泥濘の道を

毀れかけた乳母車に

ブリキ、鉄屑、壜の破片、紙屑などを満載して

背中で泣き喚く餓鬼をどなりつけ

軒々の塵芥箱を

棒切れでかきまわしてゆく朝鮮の女

人々のさげすむ様な哀れむような眼を

不敵にもはね返し

ゆったりとした足どりで車を押して行った

傍の工場からは

音頭とりの杭打ちの唄につれて

(よいとこまーけ)

(よいとこまーけ)

と女工等のかん高い声が聴こえてき

空に突き出ている大煙突からは

濛々と黒煙が

空にあまたの生活の文字をくり拡げている

歩みながら

私はあの朝鮮の女の

たじろがぬ顔を思い浮かべて

ぎゅっと唇を噛みしめた

枯れ枝の先端で

ぴゅんと風が唸って行ったが

もう肌刺すような冷たさはない

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